出会いという奇跡
僕がコピーライターとして参加させてもらっている仕事の中に、フジテレビのドラマ『Dr.コトー診療所』があります。先日、今年の年末12月16日(金)に公開される映画の情報が解禁になったばかりですね。今回は、その『Dr.コトー診療所』にまつわる、ある出会いについて書かせてもらいたいと思います。
最初のドラマ化は2003年、今から19年前のことでした。吉岡秀隆さんが演じられたコトー先生をはじめ、すべての登場人物たちが魅力的だった離島医療の人間ドラマが描かれた作品はシリーズを通して多くの方々から支持されて、2006年のシーズン2では最高視聴率が25.9%を記録するなど、テレビドラマにとっても幸せな時代を一緒に過ごさせてもらってきました。そして世界が命のことをあらためて考えるようになったコロナの時代の中で、あの物語が16年の時を経て映画化されることになったのです。今回の映画に関わるスタッフの皆さんから、オリジナルの宣伝クリエイティブの世界観への強いリスペクトの気持ちを届けていただき、再び僕がコピーを担当させていただくことになりました。
撮影は当時と同じ沖縄の離島で行われていて、現地の診療所には当然ながら現実のコトー先生がいらっしゃいます。今回の映画でも、撮影関係者の皆さんを医療面からサポートしてくださっていたことを聞きました。なんと、その島に赴任中だったリアルなコトー先生は、東日本大震災の後に大きな被害を受けた宮城県石巻市雄勝町(写真は雄勝の空です。当店では、もうすぐ雄勝の海から銀鮭の直送販売も始まりますので、お楽しみに!)で出会って以来、ずっと僕が仲よくさせてもらってきたO先生だったのです。O先生は震災から2年半にわたって雄勝に移り住み、津波で全壊してしまった市立雄勝病院に代わる雄勝診療所の所長として赴任され、住民の皆さんのために尽力されました。災害医療や離島医療に関心を持ちつづけ、日本中どころか世界中の医療が足りない現場に駆けつけられるその姿には日頃から尊敬の気持ちしかありませんが、本当は一緒にお酒を飲ませてもらう楽しい時間が(笑)僕は好きです。そんなO先生と僕のつながりに、映画に関わるスタッフの皆さんも驚かれていました。
今回の『Dr.コトー診療所』の映画化が正式に発表されてから、あらためてO先生と連絡を取り合わせてもらいました。O先生は「この作品によって離島医療を志した医療者も多いと思います。私も影響を受けたし、懐かしく、とても楽しみな作品です!」と言ってくれました。そして「私にとっての『Dr.コトー診療所』は医療の原点のような存在なんです。少しでも関わりができて光栄です。後藤さんが関わられていることも嬉しいです。いい仕事、待ってますよ~!」というプレッシャーも。O先生は、こっそりエキストラとしても撮影に参加されていたらしいという情報も入っています。
コピーライターとしての僕と『Dr.コトー診療所』との出会いも、O先生と『Dr.コトー診療所』との出会いも、東日本大震災後の宮城の雄勝でのO先生と僕との出会いも、今回の沖縄の離島でのO先生と映画の関係者の皆さんとの出会いも。その全部がつながっているのが何とも不思議で、とても温かな気持ちになれたのでした。出会いというのは、どんなものであっても、つまりひとつの幸せな奇跡なのだと思います。すみません。コトー先生のせいで、ゴトーも(笑)ちょっといいことを言ってみたくなりました。
さて、小さなオンラインストア「アピスとドライブ」の実店舗になる鎌倉店は少し工事が遅れてしまっていますが、10月の開店を目指して準備を進めています。私たちのお店も、O先生と僕が体験したような、出会いという幸せな奇跡が起こる場所になれるといいなと願っています。
https://apis-and-drive-shop.com/
店主:後藤国弘