昔から、立ち食いそば&うどんが好きです。その始まりを思い出してみると、最近はレトロ自販機のブームもあって再注目を集めている、そば&うどんの自動販売機からでした。僕の故郷は長野県の諏訪市なのですが、出会いは小学生か中学生の頃だったと思います。諏訪湖の畔に(そば処だから?そば処なのに?)あのそば&うどんの自動販売機が置かれていました。値段は一杯200円くらいだったかなと記憶しているのですが自動販売機の中から数分で、ふにゃふにゃで具が少ないのに美味しい、かき揚げがのった天ぷらそば&うどんが出てくる。夢のようなマシンと気取らない美味しさに、国弘少年は惹かれてしまったのでした。

その後、高校を卒業して東京に出てみると、そこは立ち食いそば&うどんの天国でもありました。今ほどチェーン店は多くなくて、むしろ個人や小規模でやられている渋くて小さなお店たちが頑張っていましたよね。高田馬場で、下北沢で、日本橋で、新宿で、町屋で、新橋で、あちこちで。国弘青年は、春菊や竹輪やゲソの天ぷらの美味しさを知ったのでした。紅しょうがの天ぷらの美味しさを知るまでには、もう少し時間がかかりましたが。

最近、また立ち食いそば&うどんが人気を集めているようです。しかも大手のチェーン店よりも、個人や小規模でやられている渋くて小さなお店たちが。時代の流れで僕が好きだったお店のいくつか(銀座の松屋の裏にあった「みちのくそば」とか、外苑前の駅近くで24時間やっていた「信越そば」とか、目黒の駅前にあった黄色い看板の「田舎」とか。お店で働いていたオジサンたちの顔や声も覚えています。笑)は無くなってしまった中で、なんだかうれしいです。上の写真は品川駅の山手線と横須賀線のホームに2店だけ残っている「常盤軒」というお店の、かき揚げうどん。駅のホームにある昔ながらの立ち食いそば&うどんの汁は、とても濃くて、とてもしょっぱくて、とても好きで。かき揚げも、ふにゃふにゃで具が少ないのに、汁が浸みると美味しくて。ネギの量は、いつでも多くて。例えば、都内から鎌倉へと横須賀線に乗って往復する時には、行きは山手線を降りたホームで食べて、帰ってきたら横須賀線を降りたホームで食べるという品川駅ダブルヘッダーも可能です。やったことはありませんが(笑)できそうな気もしています。立ち食いそば&うどんが苦手じゃなかったら、ぜひ一度、食べてみてくださいね。

もちろん、チェーン店にはチェーン店のよさがあり、個人店には個人店のよさがあるのだと思います。小さなオンラインストア「アピスとドライブ」の実店舗になる鎌倉店は(工事が遅れてしまっていますが、10月の開店を目指して準備を進めています。)小さな小さな個人店。
ディレクターと店主の、どこまでも個人的な思い入れや人とのつながりがあって、お店があります。大きなことはできませんが、小規模だからこそできることをコツコツと。これから出会うことになる人たちとも、やっぱり個人的に、あたたかくつながらせていただけたら、うれしく思います。
https://apis-and-drive-shop.com/


店主:後藤国弘

8月 01, 2022 — 後藤国弘