虎尾隆

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1952年三鷹生まれ。
父親の勤務先の国立天文台の敷地内の官舎で育つ。

音楽好きで、高校時代、DOORSに衝撃を受ける。

武蔵美短大・商業デザイン専攻卒業時、専攻科受験でデザインの科にも関わらず、油絵を提出し、見事落ちる。

武蔵美視覚伝達デザイン学科、教務補助・助手を6年勤め、
その間、友達とボロい工場をスタジオとして借り、グラフィックの仕事を始める。

1980年、助手の退職金を使って、相棒と初めてロンドン、パリ、ニューヨークへ。
コンサートと美術館、ギャラリー巡りで2ヶ月でお金を使い果たし、帰国。
これ以降、現在に至るまで、いろいろな国を旅する。

相棒、その他2人のメンバーと4人で集まって話しているうちに、ひょんな事から『cuel』を始める。
料理はその時に初めて携わり、今では、なんでも作れるが、その頃はビジュアル担当だった。その一環で、原宿Daily planetでイラスト展を開催。

グラフィックデザイン、cuel、武蔵美講師(3年在職)と忙しかったが、全て辞め、1886−87年、NYに1年滞在。突如、絵・コラージュ作品を作り始める。

1988年、ヒルサイドギャラリーにて初個展。その後、ストライプハウスミュージアムはじめ、いろいろな日本のギャラリー、及び、LondonのRebecca Hossack Gallery 、StockholmのGallery Jan Wallmarkなどで個展。

1994−95年、 再びNYに1年滞在。その後も2001年9.11まで、スタジオを借り、行ったり来たりしながら、制作。

NYの道で拾ったオモチャのキーボードを使い、音楽を作り始めその後、musicCD2枚製作。

絵を描けない時期に、突如、縫い物を初め、バッグ制作、最近はモカシンの靴製作も始めた。

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武蔵野美術短期大学の恩師である虎尾隆さん。
「トラさん」と私たちはよんでいる。

私たちが急に東京から鎌倉に移住することになったここ佐助は、
偶然にもトラさんの映画のような素敵な長谷の山の上のお宅から徒歩15分ほど。

いやあ、どこかに移住しようと考えているんだよ、と引越しの話をした時に
思いもよらぬ言葉。「大きな絵が描きたいんだ。」え!せっかく近くなって嬉しいのに!と思いつつ、変わらずかっこいいな、と思った。

ずっと常に前進しているトラさんとパートナーのマナガさん。そういえばNYにも住んでいた。とにかくどんどんやりたいことを成し遂げていく二人なのだ。

武蔵美で、私はイラストがトラさんのクラスで、「とにかく毎日描くんだ」、トラさんのこの言葉は、私の人生でとても大切な言葉としてある。毎日描くことでみえてくること。20歳の私は、この言葉で目標を見失わずに進んでいくことができた。

トラさんの遠くと近くを交互に見るような暖かく鋭い眼差しがとても好きで、どうにか、ここ鎌倉にずっといてほしいなと密かに願っている。

恩師の展覧会を自分たちの小さな喫茶ギャラリーで実現できることを、心から嬉しく思っており、個人的に好きな作品であるFake6の展示ができることも大きな喜びです。

(喫茶ギャラリーアピスとドライブ 今井クミ)