お久しぶりのブログで、すみません。新しい年の始まりに、このブログも今年はちゃんと更新しようと思い直したとか言っていたのに、もう全くです。でもその時にもうひとつ、やりたいことはすぐにやらなくちゃと言っていたことが、この春ひとつ実現しますというお話です。

当店の店主であると同時に、フリーのコピーライターという仕事を30年以上つづけている僕の極めて個人的な企画である『広告コピーの展覧会』。昨年の秋に開催した第1回のテーマは「コロナの時代のコピー展」でした。コピーだけ、言葉だけの展覧会がどんなふうになるかなあと心配しながらの開催でしたが、みんなで生き抜いたこの数年間の広告の言葉たちは観に来てくださった皆さんの心に届いたようで、少し安心しました。

2回目となる今回のテーマは、喫茶ギャラリーとして当店を開いた時から、いやそのずーーっと前から決まっていたように思います。「糸井重里と仲畑貴志のコピー展」。僕が憧れつづけるお二人です。もし糸井さんと仲畑さんがいなかったら、自分はコピーライターになっていたかなあ。なっていたとしても、この仕事を好きになれたかなあ。この仕事を信じられたかなあ。そんなことを考えながら今あらためて、お二人のコピーに触れたくなったのです。35年以上前のこと、20代前半だった僕は当時の雑誌『広告批評』が主催する「広告学校」に通っていました。東京タワーの足元にあった会場で糸井さんと仲畑さんに直接コピーを教わることができ、少しですが褒めてもらうことができ、その時の(勘違いも含めての)小さな自信のようなものが、とてもうれしかったのです。

コピーライターとしてのお二人のことを詳しく知らない方にご説明しますと、糸井重里さんのもので有名なのは「おいしい生活。」という西武百貨店のコピーや、「想像力と数百円」という新潮文庫のコピーなど。仲畑さんのもので有名なのは「おしりだって、洗ってほしい。」というウォシュレットのコピーや、「好きだから、あげる。」という丸井のコピーなど。それらのコピーも今回の展覧会でご紹介させていただきます。ちなみに上の写真は前出の雑誌『広告批評』の別冊『糸井重里全仕事』と『仲畑貴志全仕事』の表紙で(どちらも1983年の発行)お二人とも若いーー!これ落書きじゃなくて元々のデザイン(しかも横尾忠則さん)ですから、念のため。笑

ところで当店をやっていてよかったことの一つが、例えばこの「糸井重里と仲畑貴志のコピー展」を実現したいと思ったら、いつでも自分から動き出せることです。今回お二人に相談してすぐにご快諾をいただき、もちろん自分ひとりでは無理なので僕も所属しているTCC(東京コピーライターズクラブ)にご協力をいただき、約40名の会員の皆さんから糸井さんと仲畑さんのコピーについての素敵なご寄稿をいただきました。皆さんの文章が、もう最高で。さらに最高なのが糸井さんと仲畑さんに書いていただいた、お互いを想う文章で。準備の段階から読ませてもらいながら、もうグッと来たりジーンとしたりで、早く多くの方々に観ていただきたい気持ちになっています。


広告の言葉のはずなのに。ぜひ会場でご覧いただき、お二人のコピーから、皆さんの文章から、そこにある何かを感じていただけましたら幸いです。3月22日から4月21日まで。春の鎌倉・佐助で、お待ちしています。
https://apis-and-drive-shop.com/pages/itoi-nakahata-copy


店主:後藤国弘
3月 13, 2024 — 後藤国弘