圷奈保美先生にお聞きします。

 

Q1.まず率直に、先生にとって花とは何でしょうか。その想いは時と共に変わりますか。

A.フラワーアレンジメントの世界にいた頃はもちろん花が好きでそれを仕事にできたらとスキルを身に付けたいという中で花は花材としての扱いでした。市場の花は色とりどりできれいなのですが次第に形の花に魅力を感じなくなり、あるきっかけで日本の花を勉強したくなりました。

私にとって花は花であり美しい花があるから生ける。美しい花は人それぞれ、心のありようでその時々で花も違って見えたりもします。

万葉の時代、人々は自然と深くつながり、全てのものに魂が宿ると信じていました。『万葉集』に詠まれた和歌はその心を率直に表現しているように思います。その美しい景色を求めて山を歩き花のようになりたいと感じ、花は単なる美の対象ではなく、感情や歴史、自然とのつながりを象徴してるように思います。『万葉集』に触れることで、自然と人間の絆を感じ、花が生命を持ち、人々の感情や歴史を映し出す鏡であることを思い知らされ、古代から続く自然との対話の重要性を私に教えてくれました

注〉『万葉集』には、古代の人々が深い自然への信仰を表現した和歌が収められています。自然との絆を大切にする姿勢や花が持つ象徴的な意味が歌われており、自然と人間のつながりを感じさせます。これは古代から続く対話の重要性を教えてくれます。

 

Q2.たくさんの生徒さんをお持ちですが、生徒さんへの希望や思うことはありますか。

A.花は人それぞれ、自分の花を、あなたの花をみつけていただきたい。

 

Q3.拠点とされている寧ギャラリーさんとの出会いをお聞かせください。

A.イノセントアートギャラリー寧の濱野さんご夫婦との出逢いは、なげいれの花を習い始めてたくさんの人のご縁で繋がったお世話になっている山のご夫婦のところに出入りしている〈岡崎浩逸庵〉岡崎さんのご案内で寧に伺い寧の雑木林の花を遊びに生けたことがきっかで特別に寧の森の花を自由に切らせていただく頂くことができ、教室や花会などの場にさせていただいています。

 

Q4.山に入る時の気持ちはどのような感じでしょうか。

A.山に行くときはほとんどがいつも1人で、逢いたくて来たという感じです。1年を通して同じ山を歩くのですが同じ姿を見ることはなく毎回わくわくしています。「あの花はどうしているかな?」なんて。

 

Q5.これからが取り組みたいことは何でしょうか。

A.『花旅』

お気に入りの器をカバンにいれて日本中歩く旅ができたらいいなと思います。そこの土地の花をいただいて花を生ける旅。そこでなげいれの教室ができればもっといいなと思います。

 

Q6.先生は書もとても素晴らしく、私たち生徒にも直筆のご案内などをくださり、皆で感激していますが、書は花とどのような関係がありますか。

A.書は字はともかく開き直って書いてます。

生けた花はなくなります。山から沢山の花をいただいていますが書き留めることでその時の花を残したいと思い花の名前や言葉を書いています。

 

Q7.昨年の前田邸での花会に続き、今回の根津神社での花会と、素晴らしい場での花会ですが、根津神社での花会の意気込みを教えてください。

A.前田邸の花会や今回の根津神社での花会は、私一人では思いつかなかったことです。花を生けること以外には得意ではない私を支えてくれる方々のおかげで、素晴らしい場を提供していただけることができ、ご縁をいただきました。神聖な根津神社で行う花会は、自然との絆を深め、自然への敬意を高める重要な場です。これは私にとって山への思いであり、また花への情熱でもあります。山の花を招き、多くの方々にご覧いただければと願っています。

 

Q8.最後に、先生が人生で最も大切にしていることは何ですか。

A.私が今大切にしていることは人と人との繋がりと出逢い

 

ありがとうございました。「山里花」事務局