白柳花子 吊るし雛作家作家



端綺麗

「端布れ」は、断片となった日本の美しさ。
「端布れ」は、なにひとつ同じものはない。
「端布れ」は、世界でたったひとつの存在。
「端布れ」は、美しさの記憶をもっている。
だから、 「端布れ」は、わたしに喋りかけてくる。
「端布れ」と、わたしはお喋りをする。
「端布れ」と、楽しくお喋りをしながら、
「端布れ」と、「端布れ」と紡ぎ合わせる。
よかった、 「端布れ」と、「端布れ」が合わさって
世界でたったひとつの端布れたちが、
世界でたったひとつの綺麗に生まれ変わる 。




白柳 花子
1934年 秋田県生まれ

文化服装学院卒
都内の婦人服 紳士服の卸会社勤務
デザインパターンナー

結婚後、夫の婦人服会社にて
デザインパターンナー
オートクチュールデザイナー

引退後65歳からちりめん細工、和小物作家





ちりめん細工との出会いは、東京から鎌倉へ移住して間もなく、和小物を扱うお店で、絹布で作った花やお人形や果物、野菜などの和小物を糸で沢山繋ぎ合わせた吊るし雛でした。端布がこんなに可愛い小物になり、同じものが一つとして無い尊さに心が踊り作ってみたいと思ったのがきっかけです。

ちりめん細工は、江戸時代後期に着物の残り布を利用して、家庭の女性たちによって生み出され、手芸は小さな布でも大切にする心と美的感覚を養うための教養の一つでした。戦後、伝承が途絶え、井上重義氏によって復活したものと知りました。また、小物の形に意味があり、子供の成長や女性たち幸せを祈って作られています。(参考文献:ちりめん細工 井上重義氏)

自宅にあった古い着物や使わなくなった端布などを利用して作り始め、ちりめん細工に出会ったお店に持っていくと、とても評判良く、是非制作をお願いしたいと注文が入り活動を始めました。
若い頃、婦人服、オートクチュールのデザイナーでしたので、その感覚や技術を生かすこともでき、他とは違った豪華な吊るし雛、ちりめん細工を作る助けになっていると思います。

和小物作りが知人に知れ渡ると、沢山の端布や古布がどこからともなく集まってきました。その中で、特に江戸時代の古布に魅了されました。針の抜き差しのし易さや、粋な柄、丹念に織りあげた帯、現代に無い可憐さ、戦乱を乗り越え生き続けた重厚感ある端布は、こんな風に作って、こんな形になりたいわ、と話かけてきます。作り手でしかわからない奇妙な楽しい世界。毎日、ああしよう、こうしようと巡らせ創っています。

探し当てた柄や色を組み合わせてできた世界に一つしかない小物たち作りが
喜びと生きる糧になっています。

この素敵な日本の文化の伝承者として、次の世代に繋げたいと日々精進しています。

    
 

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