松尾貴史(折り顔作家)について
プロフィール
松尾貴史
俳優/エッセイスト/折り紙作家/カレー店・下北沢「般゚若(パンニャ)」店主
1960年、神戸市生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒。「週刊朝日似顔絵塾」塾長、日本文藝家協会会員、日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。読売演劇大賞優秀男優賞(2019年、2022年)、紀伊國屋演劇賞個人賞(2022年)など受賞。
インタビュー
Q1 .今回の作品の紹介をお願いします。
日本で初のノーベル文学賞を受賞した作家の川端康成の印象を折り紙で表現した「鎌倉の雪国」と、日本映画に偉大な足跡を残した脚本家依田義賢がモデルとなった映画に登場したキャラクターの印象を造形した「依田先生」です。
Q2 .その作品への想いは何でしょうか。
文字情報からさまざまな想像力を喚起させた二人の作家の表情から、さらにご覧になる人のイマジネーションを膨らませていただきたいです。
Q3 .座右の銘を教えてください。
「不謹慎」「無意味」「中途半端」
Q4 .趣味を教えてください。
梯子酒、カレーの食べ歩き。
Q5 .鎌倉はいつ頃からアトリエをお持ちですか。
又、そのきっかけは何でしょうか。
一昨年2022年に新宿から移転しました。創作意欲の湧く街です。
Q6 .鎌倉の好きなところ、好きな季節、好きな場所はどこでしょうか。
アピスとドライブ。
Q7 .1日の中で、好きな時間はいつ、何をしている時ですか。
何かを表現している時。
Q8 .もし、別の場所にアトリエを持つとしたら、どこですか。
京都か金沢。
Q9 .今後、作っていきたいと思っている作品について教えてください。
神仏の印象を造形したいです。
折り顔について
折り顔とは、1994年に松尾貴史によって名づけられたアートの手法です。日本の生んだ美しい伝承文化である折り紙の手法により、人類すべての数がある「顔」を造形的な特徴や表情、世界観まで含めて表現する現代美術の一つです。
折り顔の手法とは、
1:刃物などによる切り込みや切り取りを行わない。
2:正方形の紙一枚を折ったり開いたり膨らませたりして造形する。
この2点がポイントで、あとは自由です。この僅かな制約は、俳句にも通じる自由さです。使用する紙の材質も、和紙、洋紙、コート紙、新聞紙、不織布、プラスチックのようなものなど、創作者の自由な発想でテクスチャーを選択することができます。素材の弾力によって造形が不安定になることを防ぐ糊づけも自由です。
造形のモティーフとなる顔は、有名人、身近な人物、歴史上の人物、想像上あるいは伝説上の人物、限定されないイメージや表情のみなど、すべてにおいて制約がありません。
顔を折り紙でつくる手法のオリジンは、民間伝承の中で生まれたもので、いつ誰が始めたものかは不明ですが、故・吉澤章氏や故・河合豊彰氏らの巨匠による研究・創作が、国際的に大きく影響を与えています。