喫茶ギャラリー「アピスとドライブ」のある佐助は、鎌倉で「谷戸(やと)」と呼ばれる地形をした地域です。鎌倉市のサイトには「三方を山に囲まれた鎌倉では、山に幾筋も切り込んだような谷が多くなり、谷戸(やと)と呼ばれています。中世には、寺社や武家屋敷が多くつくられ、現在は谷戸の奥まで民家が建ち並んでいます。山の緑に抱かれるように家々が建つ様子は、鎌倉の特徴的な景観のひとつです。」と書かれています。

さて、上の写真。私たちのお店と離れのギャラリーの前には山の一部となっている巨大な岩がでんとあり、遥か昔には海の底にいたことを思わせる地層なども見られて、そこにまとわりつくよう
に根を張りながら緑の木々が生えています。先日、周囲に生えていた竹を整備したので巨岩の存在感はより迫力を増してくれて、これが毎日そこにある風景であることを幸運に思うのです。風景を、そのまま風の景と読むならば、ここにはまさしくよく風が通り、竹林の間から差し込む光が揺れる景が見られます。この風景を鎌倉時代の武士たちも眺めていただろうと想像すると、なんだかありがたい気持ちにもなってくるのです。

ここ鎌倉・佐助に拠点を移してから、まあ当然の話ではありますが、生き物との距離がとても近くなりました。これまでに出会ったのはタヌキの家族(最近は姿が見えず心配しています)やフクロウ(まだ一度きりの奇跡です)や台湾リス(実は意外と悪者です)、さまざまな声で鳴いてくれる鳥や虫たち、そしてあまり出会いたくはないのですがヘビやムカデたち(どちらも大きい!)にも。そうだ、ムカデにはお風呂場でチクリと右足の小指を刺されたりもしました。その時は、ご近所の方が応急措置のために、ムカデをアルコール漬けにした自家製の塗り薬をくれました。苦笑

どんな場所にも、そこにある風景があり、そこにいる生き物たちがいる。他と比べることなく、自分たちがいる場所の風景を愛おしむことができたらいいなあと思うのです。長かった雨が止んだ後は、鎌倉も秋晴れの日が続いています。10月は鎌倉を中心に開催されている文化の祭典「詩をフェス」の一環としての「井上ひさしと宮沢賢治」も展示中です。どうぞお出かけくださいね。(店主:後藤国弘)
https://apis-and-drive-shop.com/pages/inouehisashi-to-miyazawakenji

10月 12, 2026 — 後藤国弘